デスマーチを減らそうとすると仕事そのものが減る矛盾 | それゆけ西表島

デスマーチを減らそうとすると仕事そのものが減る矛盾

デスマーチプロジェクトは、突発的に発生する場合もあるし、最初からデスマーチになる確率がかなり高そうだと思われる場合もある。

前者はまだ言い訳できる余地がある(誰かが突然病気になったとか)が、後者は引き受ける時点で無理を承知で受けているケースが多いため、前提条件が何も変わってないのであれば、引き受けた側でどうにかする以外にない。

今回は後者のケースについてとりあげる。なぜ無理っぽい案件を引き受ける会社があるのかというと、大きく分けて
 1.顧客と関係強化
 2.スタッフに空きがあるため仕事を入れたい
 3.無理だと思っていない
の3つぐらいに分類できそうだ。

1は、他の案件を受けている手前受けざるを得ないとか、新しく取引がしたいから少しきついかもしれないけど引き受けるという場合である。

2は、開発案件が終了して、スタッフが空いたという状態で、何か仕事がないですかという時に、少々赤字でもいいからスタッフを遊ばせておくよりはましといって引き受ける場合である。

3は、優秀なスタッフがいるからあいつに任せれば安心だろうとか、新しく優秀なスタッフを探してきたらなんとかなるだろうという思い込みで引き受ける場合である。

1、2は最初の読みが正しければ、スタッフは少し忙しく、少し赤字ぐらいの状態で難を逃れる事が出来るかもしれないが、ちょっとしたトラブルですぐにデスマーチに突入しそうである。

3については、予算と納期だけ決まって、後からスタッフをあてがうということで、成功するか失敗するかはわりと運任せである。いいスタッフがいればいいが、通常であればひどいデスマーチになることが予想される。

上記のような仕事の受け方では、デスマーチになるであろうことはわかるわけだが、かといって仕事を受けないとどうなるかというと、他の仕事を探すしかないわけだが、探している間は給料を貰えない、というわけにもいかない。

自分の所属する会社がデスマーチに陥りそうな仕事は全部拒否しても、どこかの会社(もしくは個人)が受けてしまうので、期間が延びたり、金額があがったりということもカルテルでも結ばない限りないだろう。デスマーチな仕事を回避していると仕事がなくなっていくのである。

要は顧客主体な仕事をしている限り、デスマーチな仕事を受けざるを得ない状態になりやすいし、デスマーチになると余計資金繰りが悪化するという悪循環にはまっていく。

そうならないようにするために、会社は人だけ派遣してプロジェクトに関与しない方向に向かっていくという選択肢を取るわけだが、派遣される側の人にとっては、派遣先がデスマーチの場合も当然あるわけで・・。

今日の結論:デスマーチが回避できるかどうかは、会社の戦略によるところが大きい。デスマーチな選択をしがちな会社に入ったら、その後相当の努力と運がないと回避できそうにない。そんな苦労をするぐらいなら、入る会社を慎重に選択する方がよい。どこに入ってもなんとかなる、というのは幻想だと思う。