ソフトウェア開発会社の生きる道 | それゆけ西表島

ソフトウェア開発会社の生きる道

PM見習いの読書日記 ソフトウェアの値段 より
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ただ、ソフトウェア開発専業のベンダーとしては、
・誠実に仕事をすることを約束して、かかった分の費用を請求する(人月清算ってことですね)
・あいまいな仕様書からの見積もり精度を高めて、一括で受注する
という選択肢しか残らないのかな?

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ソフトウェア開発専業ベンダーというのは、営業や企画やマーケティングを他社に依存した会社のことだとすると、会社としては売るための仕組みが備わっていないので、口コミや誰か(ほとんど社長)のトップセールスで仕事を取ってくるような場合がほとんどではないだろうか。

とすると、いくら高尚なことを口にしようとも、やりたくない仕事でも引き受けざるを得ない。得意分野だけで勝負したくても、そもそも仕事選べないのであれば、毎回業務も異なり客も異なり開発言語も異なりコスト見積の算出方法も相手に合わせて用意する必要があるということだ。

そのような状態では、会社としての特徴はもちようがない。ソフトウェア開発業界が俗人的で、仕事は会社ではなくて人につくとなるのも当然の結果である。会社としての特徴を持つということはどの仕事を受けてどの仕事を断るのかはっきりさせるということだ。

なので、アジャイル的にかかった分だけのコストを請求していいのかどうか、という以前に、どうやって仕事取って来るのか、営業をどうするのか、である。営業をどうするのかを決めるには、どこに集中するのかである。

「Javaできます」は「英語できます」と同じぐらい、顧客から見ると意味が無くて、それは個人のスキルの宣伝でしかない。そんな宣伝をしている会社は、「弊社の社員をお貸ししますので使ってやってください」と暗に言っているということだ。

顧客は何を望むのか?「どうやったら利益がでるか(経費が減るか/売上が増えるか)」である。そのために「御社のこの部分をこうするとこれくらい利益がでます(経費が減ります/売上が増えます)」と言える何かが会社にないといけない。

そして、顧客に提案した内容の一部分がソフトウェアなのである。自ら提案するから、自分の会社の得意分野で勝負できて、開発言語も自前で選択でき、最適化することが可能なのである。ここまでこないと技術がコストダウンに結びつかない。

ソフトウェア開発会社は、顧客の仕様に合わせて作り、最終的に顧客の著作物となってしまう仕事ばかりしているのではないか。お金を貰っても自社には何も残らない仕事ばかりしてきていないだろうか。

プログラマは誰の金で仕事をしているのかわからなくなるのである。受託開発ならほとんどが顧客の金である。自社で働いているのではなく、顧客の会社で働いているようなものである。

会社は少しの間儲かるが、プログラマの磨り減り具合を考えると、本当にそのやりかたでいいのかどうかは疑問である。本当にいい仕事をしようと思ったら、自社にプログラム資産が蓄積されていき、どんどん仕事の質をあげていけるような、そんな状態にしないと、この先続けていくのは難しいのではないだろうか。

プログラマのやったことが蓄積されていき、その中からまた新しいものが生まれていく、というような好循環になってこそ、コストダウンにつながり、ソフトウェア開発専業会社として社会に貢献できるのではないかなという気がする。