受託開発は客から見ると投資である | それゆけ西表島

受託開発は客から見ると投資である

IT Pro 不透明なソフト開発の価格,解決への第一歩は“相場”を示すこと
から

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では,こうした数値が実際にソフトの適正価格を判断する指標になり得るのかを,少し考えたい。データの分析結果で明らかにされるのは,ソフトの規模に対する平均工数,平均不具合数,平均納期などである。調査が十分なサンプル数を集めれられば,ある程度の指標になると思う。
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引用のような方法で適正価格が得られるかどうかは、正直ばらつきが大きすぎるし、顧客側が開発工程のどの期間に仕様を確定したのかとか最後にちゃぶ台返しをしたのかとかで、工数や期間は著しく変わってくるため、無意味なように思う。

後からソフトウェアを見て、これならいくらですね、と言うのはそれほど難しくない。仕様が決まっているソフトウェアならわりと正確な見積が出せるだろう。それで見積が出るから、他の同程度の規模(規模の軸も不明だが)のソフトウェアが似たような金額で納品できるかというと、そんなことはない。

なぜうまくいかないのかというと、仕様(契約)を満たしているかどうかの判定に、顧客の主観が大きなウェイトを占めているということがあげられる。顧客が完成したソフトウェアを見てから駄目出しをしているようでは、コストがいくらあっても足りない。

仕様の煮詰めが甘いだけといわれるかもしれないが、顧客もうまく説明できないようなものを作る際に、見ないとイメージできないという場合も多々ある。モックやプロトタイプを作りながらイメージを固めて、こつこつソフトウェアを構築していく場合の見積は、後からソフトウェアを見ても当然わからない。

よって、ソフトウェアの値段の相場という概念がそもそも間違いであるように思う。会社にとってソフトウェアを利用することで、経費が削減される/より儲けることができるという場合に、投資としてソフトウェアを発注するのであって、その際に投資金額も費用対効果で決めるわけである。先に予算ありきであり、ソフトウェアありきではない。

当然、その予算にはどのようなソフトウェアを作るべきかという企画段階からの予算も含まれる。ソフトウェア単体の値段の相場を出すことに何か意味はあるのだろうか。

他社が導入したからうちも、そしてそのソフトウェアはいくらなのかというような考え方では、SIベンダーにいいようにされるだけなので、辞めておいた方がよいだろう。相場を決めて得をするのは当然SIベンダーなのだから。